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崩れる
ギィィ ギィィと油の切れた重い扉を開けるような音が聞こえる
その不快な音に夢の境に混濁していた意識が浮上して目を開けると、見覚えのない天井があった
……ここは…?
目が覚めると不快に軋んだ音は遠退き、代わりにシュンシュンとストーブの上に置いてあるヤカンから漏れる暖かい蒸気の音に包まれる
「目が覚めた?」
ストーブの近くに見知らぬ男がゆったりと椅子に座って寛いでいた
「あの……私…」
慌てて体を起こそうとするが、覚醒した意識とは裏腹に体は鉛を溶かし込んだように固まっている
「無理に起きない方がいい。君は雪崩れに巻き込まれてたんだよ」
思い出した
私はアウトドアが大好きな彼と、その友人と4人で山スキーに出掛けたのだった。そして途中で雪崩が……
「他のみんなは?」
動かない体から首だけを無理に動かし男を見る
「大丈夫。違う部屋で僕の仲間たちが介抱しているよ」
男は色素が全体的に薄く、琥珀の瞳が輝いている
ほっそりと長い手足に服の上からでも解る程よい筋肉
こんな山奥に不釣り合いなくらい綺麗な男だと思った
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