崩れる

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「体の様子を見てみようか」 男は空気のようにふわりと軽く私のベッドまでやってきた そっと優しく頬に触れる その手はさっきまでストーブの近くにいたとは思えないくらい冷たかった 「ちょっと熱いかな?熱が出てるのかもしれない」 言いながら、さっと私から掛け布団を剥ぎ取る 「……!」 私は衣服を何もまとっていなかった。いきなり見知らぬ男の目の前で裸体を晒してしまった事に狼狽し息をのむ 「……あの。出来れば女性の方に……」 目が覚めてから多少時間は経ったはずなのに、まだ手足は動こうとせず、男の前で大事な部分を隠せずにいるのは、とてつもなく恥ずかしかった 男は何も答えずに優しい笑顔を向けるだけだ ヤカンの蒸気の出る音が少し遠退き、また雪の軋む音が近づいてきたような気がした 男がもう一度頬に触れる 最初よりは冷たさを感じなくなっていた 「体。少し動かしてみようか」 男が私の体に視線を這わせる すがるように男を見たが、衣服の乱れたところのない男の姿に羞恥が増すばかりだった 山スキーに出た他の皆も同じような事をされているのかしら? ふと、半年付き合っている彼が気にかかる 「少し。足を開いてごらん」 体の自由がきかない時でも、彼以外の異性に裸体を晒すのは、裏切り行為のような気がしたのだけれど 動かなかったはずの私の足がゆっくりと開いていく 少しずつ足が開く毎に男の笑みが深くなり、私は正しい事をしているのだという、間違った安堵に包まれた
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