届かない存在

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マイクを使いながら授業の解説をする教授の声は俺の耳に入ってこなかった 今、俺の頭を支配しているのは 名取大和だけだ 名取さんは俺の高校時代の先輩であり 初恋の人だった だけど、俺は名取さんに告白した事が無い 男同士と言う事もあったけど、一番告白と言うラインを越えさせなかったのは、俺みたいなのが名取さんの隣に居て良いのかと、恐怖に似た疑問があったからだ なぜなら名取さんは誰も持っていないようなきらめきを持っていたからだ 勉学や運動が出来たから、見てくれが良いから、そんな理由で輝いていた訳では無い もしかしたらそう感じるのは、俺が名取さんに恋をしていて、周りの事など一切見なかったからかもしれない それでも俺の中で名取さんは特別な存在だった そして一度だけ俺は名取さんを独り占めしたことがあった
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