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第1話
「ねえ!!ねえってば!」
ゆさぶられている、とぼんやり思った。地面が硬いせいで後頭部が擦れて痛い。…いや、それにしても痛すぎないだろうか。
少年は痛みに抗って半ば無理やりまぶたを持ち上げた。ぼんやりと開けた視界に、誰かの影が見える。そう…女の子だ。ほのかなジャコウの香りが彼の鼻孔をつく。彼が口を開こうとしたそのとき、少女は右手を振りかぶった。
「いい加減に起きなさいよっ!!」
パァン!と綺麗な平手打ちの音が暗い路地裏に響く。少年は「ぬがっ」と呻いた。衝撃で後頭部が地面にごりっと擦られ、ちらちらと舞う星を見ながら、少年は再び気を失った―――――――――――…
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