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「な、なにコイツ……いきなり笑いだしてるし……キショい……」
「ヒィーヒィー……いやぁちょっとな?……神様ってのは、本当に面白い事してくれるよなってよぉ」
「ハァ?」
俺は笑い過ぎて目尻に溜まった涙を拭き、優美に微笑んだ
「優美……一つだけ、思い出したよ」
「えっ?」
「俺とお前は……お互いに大切な存在だったよな。はっきり思い出した」
俺はゆっくりと、優美に歩を進めていく
神様は、本当に何を考えてんのか分からねぇ。でも今は感謝してる
神様は俺に伝えたかったんだ。大切な娘が虐めに遭っているという事に……そして、俺に“虐めから娘を救わせる”為に、死んだ娘の親友の身体に、俺を乗り移らせた
「そしてもう1つ、思い出したよ」
なら……父親としてやる事は一つ!
「お前は虐められてる……多分、俺もなんだろうけど……でも安心しろ」
「は、遥ちゃん?」
「一度俺は死んじまったからな。色々変わったし吹っ切れた……今日からは……」
そこまで言って、ガングロタマゴの腰巾着共の直ぐ近くまで来た俺は……
「ウラァッ!」
ゴシャアッ!
「……ッ!?」
腰巾着の片割れの鼻っ柱に、痛烈な右ストレートを叩き込んだ
鼻っ柱が滅茶苦茶にひん曲がり、血を吹き出して教室の後ろまで1メートル程吹っ飛ぶ腰巾着の片割れ
そいつは数回痙攣した後、真赤な泡を噴いてガクリと気を失った
騒然とする教室。最早理解の範疇を越えて混乱している優美に、俺はニヒッと笑った
「お前を虐めから守ってやる!誰一人として、お前を虐めやさせねぇ!全部叩き潰してやるぜ!」
◇
一体……何が起こったのか分からなかった
虐めっ子の一人が吹っ飛んで行く中、私は今の現状を理解するので精一杯になる
遥ちゃんが記憶喪失になってて、そして虐めっ子の一人に近付いたらいきなり吹っ飛んで……それで……
もう頭の中はパニック状態になっていた。何がどうなっているのか……
でも、もう一人の虐めっ子の怒鳴り声で私の意識は現実に戻された
「アンタ何してんの!?明美!明美!」
「ちょっとアンタ!明美が血ぃ噴いてんじゃん!明美だって女なのに、普通顔を殴る!?しかも不意討ちじゃん!」
「ふーん?腰巾着Aの名前は明美ってのか?悪いな。鼻とか歯が滅茶苦茶になっちまっただろうが、死にはしねぇよ。二度と外は歩けねぇだろうがな!」
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