2/3
1200人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
( …この男はタカサトの国の…) 獣のような目に見覚えがあった。 ハッとし、その下に横たわる男の顔を見た。 あられもない姿。 気を失っているように見えた。 確信し、一気に体温が上がる。 「なにをしている…」 思わず腰に差していた剣をスラリと抜いた。 「……」 タカサトもそれを見、静かに立ち上がる。 同じように剣を抜く。 「 …ヤマセか…」 「……」 「どこかの噂でユキを探してると聞いた…」 「……」 「どこで見染めたか知んねえが」 タカサトがヤマセを見据えた。 「 …譲るわけにはいかねえ」 「……」 タカサトが先に剣を振った。 それをヤマセが受けて立ち、双方の刃の接点から火の粉が散った。 交錯した剣の間から相手を見る。 一人は鬼歯を剥き、一人は口を真一文字にきつく閉じる。 互いの力に剣を持つ手が震えた。 跳ね飛ばし、また刃を合わせる。 その金属音に、城の家来たちが気付いた。 .
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!