ほーかご

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「アキアキぃ~、待ってよぉ」 いつも二人で歩く帰り道。 雅は、学校を出た今でも何かから逃げるように足早な明を追いかけている。 「一緒に手を繋いで帰ろうよ~」 「だっ、誰がするかっ!!それと、アキアキと呼ぶなっ!」 「じゃあ、せめて歩こうよぉ」 「こっ、これだって歩いてるうちに入るんだ」 「じゃあ、遅く歩いてよぉ。私、寝起きだから疲れたぁ」 「知るかっ!灰谷はゆっくりと歩けばいいだろっ!!」 「え~、やだよぉ。それじゃあ、アキアキと帰れないじゃん」 「別に一緒に帰らなくたっていいだろっ!」 「一緒に帰るぅ。だって、私、だ~いすきなアキアキと少しでも一緒にいたいもの」 「!!」 突然、止まる明。 「痛っ!」 それを避けきれなかった雅は、明の背中と真正面から衝突する。 「どうしたの、アキアキぃ?」 気になった雅は、明の顔を覗き込む。 「アキアキ、顔赤いよ。どうしたの?」 「なっ!何でもない!!」 雅の視線から顔を背ける明。 今、雅の顔を見ると更に赤くなるような気がしたからだ。 だが、そう簡単に諦める雅ではない。 背ける明の顔を覗き込もうと必死で追いかける雅。 「やめろっ!」 そう明が一喝し、手で振り払うと雅はいとも簡単に引き下がった。 図書室で明が何度言っても騒がしいままで、嫌いなノートを見せてやっとおとなしくなった雅が―――。 「…“明くん”」 アキアキと呼ばず、明くんとちょっと親しい友達が言うように。 「言おうとしていた自分が恥ずかしいのかな?それとも、言おうとしていた自分が恥ずかしいのかな?」 「はっ!?なに言ってんだよ?」 過剰に反応し自分の心情を悟られまいと目を逸らそうとする明に、雅は平謝りに頭を下げた。 「ごめん。私、聞いていたんだ。智花ちゃんと明くんの会話」 「聞いてた?なに言ってんだよ。お前は体調崩して眠ってただろ?」 「眠ってない」 「はぁ?じゃあ、今回は寝たふりをして聞いていたっていうのかよ?」 「今回だけじゃない。今までも私は眠っているふりをしてきた」 「どういう事だよ?お前、ノートを見ると気分が悪くなるんじゃ…」 「嘘なんだ。ノートを見ても気分が悪くなる事なんてないの」 更に頭を下げる雅。 「本当にごめんなさい…明くん」
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