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明のハリセンに倒れるのを気にすることなく、本人は顔色を変えてペコペコと謝っている。
「すいません、智花(ともか)先輩」
明の謝るその人は、二年生で図書委員の石巻智花(いしまき ともか)であった。
智花に向ける明の顔は恥じらいを含んだ憧れだ。
まるで先程までの明が幻だったかのようだ。
いつの間にかハリセンも明の手から消えている。
「気にしなくていいわよ、阿久津くん」
「そんな、智花先輩の邪魔をするわけには…」
智花の言葉を謙虚に否定しようとする明だが、そこに智花の意見に賛成する者が現れた。
「そーよ、そーよ。別に私が騒いだって智花の迷惑にはなんないんだから。アキアキが謝る事なんてないじゃん!」
「お前、もう目覚めたのか…」
そこには明のハリセンを喰らって崩れ落ちた者が立っていた。健康なことをアピールしたいのかピースしている。
「いぇ~い」
悪びれることもなく、かといって反省する事もなく、ただ無邪気に笑っていた。
「アキアキのハリセンを何度も受けてきた私の復活は早いんだよ。知らなかったのぉ?」
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