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「先生、私と初めて会った時を覚えていますか?」
「確か石巻くんが本を取ろうとしていて…」
「そうです。私は高い所にある本を取ろうと必死に手を伸ばしていました。その本を島野先生は取ってくれました」
その時、祐介は新任で、智花も入学して間もない一年だった。
そして、二人とも新たな生活に馴染めないでいた。
「私に本を渡す時、一瞬だけど目が合ったんです。その時、音がしたんです。誰かに聞こえてしまうくらいの大きな胸の音」
それを恋だと知るにはさほど時間はかからなかった。初恋だった。
「だから私は島野先生に告白しました。そして、島野先生は受け入れてくれました」
「あぁ。でも、僕に石巻くんは不釣り合いだ」
「そんなことないです。島野先生は今までも、そしてこれからも私が大好きな島野先生です」
濡れた智花の瞳。
夕日に反射して輝くその瞳に祐介の鼓動は顧問と委員の壁を壊すように高鳴った。
「石巻くん…ごめん」
祐介の胸の中に埋もれた顔を上げる智花。
「謝るなら名前で呼んでください」
「智花…」
「祐介さん、キスの続き…しませんか?」
「そうだね」
テーブルの上に智花を押し倒した祐介は白衣を脱ぎ捨てた。
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