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車から出てきた男は四人。どれも大柄で、身なりのいい黒服を着ている。四人の黒服はこの辺一帯の子供と空き缶を次々に回収していった。
先程の少年も例外ではない。しかし彼の持っているパンが黒服の怒りを買ってしまった。
「おい、何を食っているんだ!? 誰から貰った?」
少年の細い腕を強く握る。ミシミシと骨が軋む音が聞こえてきそうだった。
「さ、さっき知らないオジサンから貰った」
少年の声はか細く少し距離があったために聴こえにくかったが、おそらくそういった会話がなされているはずだ。
ハザマはゆっくりと黒服に向かって歩いた。
「あ、さっきのオジサン!」
黒服が近づいてくるハザマに気付いて、少年の腕から手を離す。腕にはくっきりと跡が残っていた。
「おい、オッサン。アンタがコイツにエサをやったのか? 困るんだよ。勝手な事をされると」
ハザマは応えずに、火の着いていない煙草を口にくわえた。
「悪いが、火を持ってないか?」
ハザマの身長は低くないが、黒服を見上げる形になった。
「質問に答えろ」
懐から25口径の銃を出して、ハザマの眉間に突きつける。
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