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「どけぇ!!」
目を押さえて呻く男を退かすと、ハザマに銃を向けた。銃身からハザマまでの距離は随分ある。
「よく狙えよ」
避ける素振りも見せずに、手をひらひらさせて挑発した。
黒服は片目を閉じてハザマを狙う。銃身はまっすぐ左胸。頭では的が小さすぎるが、胸は付近のどこでも当たれば致命傷だ。
パァン。
銃声が響き渡る。しかし弾はハザマの足元の土を舞わせただけだった。
次を撃とうと銃の上部をスライドさせる間に、ハザマは間合いを詰めて腕に鉄を一撃。振りかぶって腹に一撃をお見舞いした。黒服の体が少しだけ宙に浮き、背中から倒れた。
「素人だな。覚えておくといい。25口径は至近距離でしか使えない」
地面に転がった銃を拾いあげると黒服に向ける。
「まあ、今から死ぬ人間に何を言っても無駄か」
ハザマはにやりと笑って、引き金をひいた。
返り血で汚れた服を泥水に浸しながらハザマは確信した。
この世界は腐っている。
そしてこの世界を腐らせている悪を根絶やしにしなければならない。
俺が変えてやろう。この暴力で支配された世界を、俺が救ってやろう。
ハザマはそう心に誓って各地を巡っていった。
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