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「なるほどな」
ジョニーは納得した。この男はつまり、世界を救おうとした。その結果がこれ、か。
「つまらん正義感だ」
死にかけの男は虚ろな目でジョニーを見つめた。まるで反論するような目だった。
「死ぬ前に一つ、いいことを教えてやろう。お前を殺しにきた連中。あれを指示していたのは両足のない少年だ」
【夜】と言ったか、【騎士】と言ったか。救ったつもりの少年が、まさか自分を殺したいほど憎んでいたなんて想像もしていなかっただろう。
「あの少年にとって、奴等は自分を生かしてくれる存在だ。親と同じくらいに思っていたのかもしれない。それをお前が潰したのだ」
皮肉なものだ。正義のために行動したつもりが、逆に恨みを買うなんて。
男は震える手で煙草を口にくわえると、フッと短く煙を吐いた。
「隕石で滅ぶ世界を救おうと時空を歪めたようだが、それも無駄だったな。人の世が滅ぶのは時間の問題だ」
もう聞こえていないか。
煙とともに体から抜けた魂を掴み、その漆黒の翼で包んだ。
……あの世まで送ってやるよ。教祖様。
==END==
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