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「それは……ま、また今度ね」
これは受け流されたな……。
言いたくないことかもしれないし、これ以上踏み込むのも無粋か。
第一、ろくでもない理由だとすれば……なおさら聞きたくない。
「じゃあ、そろそろ帰りますから」
あまり遅くなると、うちの家族も心配するだろう。
「は~い。また明日学校で」
酔っ払いの不審者に軽く礼をして俺は歩き始める。
「う~ん、ちょっと飲み過ぎたかな……」
背後から聞こえた小さな声。
振り返ってみると彼女は頭を押さえて座り込んでいた。
俺は気が付けなかったが、彼女の頬には涙が伝っていたのだ。
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