はじまり、英雄の世界

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僕は、自分が新入りであると告げ、白き英雄の青年と話をしてみることにした。 青年は、数人の美少女に囲まれていて、まあ、ハーレムとかいうやつだが、ネット民である僕は嫉妬を多少なりと覚えたものの、青年の物腰柔らかで、大らかなところを見ると、どうでもよくなった。 会話を交わしていると、中々に興味深い話を聞くことができた。 青年の話によれば、どうやら最近、様々な世界の情報が書かれた書物を集めた図書館が建てられたらしい。 詳しく、その図書館の場所も聞くこともできた。さっさと話を切り上げそこへ向かおう、そう考えていた時だ。 「居たぞ!捕まえろ!」 この世界の警官だろうか?黒一色の鎧を着た男達が刀を抜いてこちらへと向かってきた。 僕は、立ち上がり、自分がふわりと浮き上がるのを想像した。すると僕の身体は浮き上がり、凄まじい速さで飛ぶ、景色が激しく流れていく、目指すは図書館、僕の求めるものがそこにあるかもしれないのだ。 夕日に照らされた都、高くそびえ立つ尖塔、僕の頭には一度見たあの壮麗きわだかな都で一杯だった。 僕にとって都合がいいことに、この世界の者達の力は大きく制御されているということだ。 英雄、それは何も人間側にだけ存在するものではない。魔族側の英雄であったり、悪のカリスマ、そう言った者達も例外なくここに来る。 そうなると、イザコザが起きてしまい、管理者達も保護した意味がなくなってしまう。 それで、管理者達は英雄達の力を制御した。例え世界を破壊し尽くす力を持つ者でも、ここではその三分の一も使えない。 ここまでされて反乱が起きないのは、ここの居心地がいいのかもしれない。 図書館らしき建物がうっすらと見えるところに差し掛かった時、僕の横を何かーー光の筋のようなものがかすめた。 僕は光の筋が来た方向を振り向く、そこには、取るに足らない黒鎧の一団が、建物の屋上から僕を撃ち落とし硬い地面に叩きつけやると言った具合に、こちらに手の平を向けあの光の槍を撃とうとしていた。
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