はじまり、英雄の世界

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構う必要性なし、夢の中で僕は自由だ。その世界の住人にとって現実だろうと、僕には夢の中出来事に過ぎない。 僕はさらに速く飛ぶ、風を切るこの爽快感は決して現実では味わえないだろう。 黒鎧の一団は、グングン遠ざかりついには視界から消えた。僕はそれを確認すると中心街の裏通りに降り立ち、少し気まぐれに身を任せーーー街を歩き回ることにした。 この小さな世界の中心街、舗装された道路には車と思われる乗り物が走っていて、文化水準が高いことがうかがえる。 中心街は、石造りの城壁が街を囲むようにあり、街への出入りを規制しているのか、門番らしき黒鎧の一団が槍を携えて背筋をぴんと伸ばして立っている。街を歩けば裏通りに至るまであらゆる店舗が立ち並んでいて、飲食店、居酒屋、服屋、家具屋、それとよくわからない人気のない店がある。 そして街の目玉、闘技場が中心にデカデカと我が物顔で街を見下ろしている。かなり大きな建物で、建物内には幾つも闘技場があり、一ヶ月に数回武道会が行われ、人を魅了するド派手な戦いを見ることができる。 僕は、裏通りから空で確認した表通りへと向かい、街を散策する。 陰気な裏通りを抜け、表通りへと出ると一気に騒がしくなる。人通りは多く、談笑しながら歩く人達が見える。 服装が皆奇抜なためか、ここでは僕の服装も目立たない。 僕は図書館を目指して、街を眺めながら歩みを進めた。もし、この世界の通貨があれば食べ歩きをしてみたいものだが、そんな感想を抱きながら。
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