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所謂腕枕というやつだ。
足の痺れは薄れてきたけど、きっと朝には腕が大変なんだろうなぁ。
しかし、俺の腕に頭を乗せて満足そうに笑うカナを見てたら、それもいいかなぁと思えてしまう。
でもなんか悔しいので反対の手でカナの頬をつつく。
ふにふにしてて気持ちがいい。
「柔らかいですね」
そう言うと、頬をつねられた。
「痛い痛い。なんとか機嫌をとってやめさせねば。抱きつけばいいかな?」
「そういうことは思っても口に出さないほうがいいよ、馬鹿兄貴」
しまった、つい。
でも抵抗がないってことはしろってことですよね!
「それじゃあ」
言うが早いか、枕にされてる腕をそのままカナの頭に回し、反対の手を背中に。
そのまま一気に抱き寄せてみた。
ここまできても抵抗はない。
頬の手もいつの間にか離されている。
ここまで無抵抗なのは予想外です。
ふと、カナが俺を見上げていることに気が付いた。
暗くてよく見えないけど、心なしか赤いような。
きっと気のせいだろう。
カナの柔らかい胸が俺の胸に押し付けられてるのも気のせいだし、カナの鼓動が早く感じられるのも気のせい。
もちろん、カナの顔が思ったより近くてドキドキしてるなんてのは、気のせい以外の何物でもない。
カナの顔を見て、背中に回す腕に力を入れたのも、きっと気のせい。
なんでこんなに気のせいが多いのかは現在不明であり、以後もずっと不明。
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