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ガシャンッ!─────
鋭い音をたてて、食器が床に落ちた。
振り返らなくても、店内の客の視線が一斉に自分に集まったのがわかる。
「───も、申し訳ありません!」
静まり返っていた店内がまたガヤガヤと騒がしくなり、はぁっ、と息を吐き出す。
────落ち着け、自分
「大丈夫か?」
散らばった食器を拾っていると、頭上から声がした。
「すみません、カルラさん」
顔を上げると、腰まで届くアクアブルーの髪の女性が立っていた。
海のような真っ青な瞳が観察するようにじっと俺に向けられる。
カルラさんは、ホイっ、と落とした皿を俺に手渡し、ポンポンと頭を撫でた。
「エルク、無理するなよ?」
「……ありがとう、ございます」
あたたかった…………
さっきまで苦しかったものが、スッと軽くなった気がした。
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