たのもう! 

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そっと振り返ると、沖田総司はあくびしてる……… 「私……拷問されて、奉行所に突き出されるんですよね?」 「………俺頭痛いからまだ寝る…」 何事もなかったように布団にもぐりこんで 「福田君はあっちで寝て。寝相悪すぎだから」 と、部屋の隅に積んであった掛け布団の山を指さして目を閉じた。 「藤堂さんが、『こんなとこ乗り込んで来る女なんて、何か探りにきた間者しかいないだろ』って」 「おやすみ……」 ちょっと沖田総司さんてば寝ないでよ! 「見つけたら、拷問して、吐かせて、奉行所送りって!言ってたんです!」 寝ている布団に詰め寄ると、迷惑そうに眼を開けて 「福田睦月は間者なの?」 「違います!」 「何で、女なのに入隊してきたの?」 「それは……女は入れないって知らなかったし……」 沖田総司に会ってみたいという好奇心で……… そんなこと言ったら、変な誤解されるかな? ますますあやしいよね。 「………勉強のためです」 演劇部で、新選組を演じるために 「新選組が、何を見て、何を感じて、最後まで戦って行ったのか知りたいからです」 これはうそじゃないよ 台本を読みながら、いつも考えていたこと。 どうしてこの人達は、最後まで幕府のために戦ったんだろう? 幕府が負けてなくなって、新しい時代が来たのに。 ………沖田総司は血を吐きながらも人を斬ったのだろうって……… 「………わかった。もう明日話そう」 沖田総司は咳をして、目を閉じた。 そうだ、沖田総司は労咳っていう病気で死んでしまうんだ。 「沖田総司さん………労咳っていう病気なんですよね?入院した方がいいと思います。早く治療したら、治るかもしれないですよ?」 沖田総司は迷惑そうに目を開けた。 「………福田君、医者っていうの、ホント はうそだろう?」
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