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朝になって沖田総司に連れられ、近藤局長と土方副長に事のあらましを説明した。
「女も入れると思って入隊したそうです。そういうことらしいです」
あんぐり口を開けたまま、固まってしまった近藤局長の隣で、土方副長が呆れたように口を開いた。
「こいつが女だって総司は気が付いていなかったのか?」
意外そうに土方副長が呟く。
「歳は気づいてたのか?!」
驚いて近藤局長が声を上げる。
「気づかねえ近藤さんもおかしいだろ……」
「気づいてたらなぜ黙ってた?」
「間者だったら、泳がせて捕まえればいいかと思ってな」
こっちを見る土方副長の涼しい目が怖い。
近藤局長はすまなそうに
「福田君。新選組に女はいらねえ」
出て行けってことだよね?
拷問も奉行所に突き出されることもなかったんだし
最初から入隊する気もなかったし
良かった良かった。
お世話になりましたと立ち上がろうとすると
「………ところで、福田睦月さんは行くとこあるのかい?」
近藤局長が呟くように言った。
「医者の見習いらしいが、国に帰るのかい?」
「えーっと、帰るとこなんてありません。でも、大丈夫だと思います」
夢の中だから
でもいつになったら目が覚めるんだろう?
舞台から落ちたとき、変なトコ打って意識が戻らない………とかじゃないでしょうね
今頃集中治療室で家族に囲まれて、お母さんが泣いてたりしたら………
「どうしよう……」
急に不安になってきた。
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