1383人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここで、働くかい?」
「え?」
「いや、隊士としてではなく、ほら!病人が出たりしたら頼りになるだろう。他にも仕事はたくさんあるだろうしな。なあ、総司」
思いがけない提案に瞬きしてると、話を振られた沖田総司が
「え?いいんですか?土方さん」
副長に話を振る。
「やれやれ、また近藤さんが捨て犬拾おうとしてるぞ」
…………犬?
「行くところがないというし、娘一人不憫だろう?」
土方副長は、涼しい目でこちらをみつめて
「面倒くせぇことになるぜ?近藤さん」
「何も面倒なんてないだろう?」
「こいつは犬猫とは違うんだ。何より娘だ。娘が隊内でうろちょろしてみろ。いらぬ噂がたって、近藤さんの体面にも悪かろう」
近藤局長はうーんと唸ったまま黙ってしまった。
沖田総司は黙って二人のやり取りを聞いている。
「あの、もういいです。私出て行きますから」
ぽんと近藤局長が手を打った。
「男の格好でいたら、娘だって分からんだろう?」
「………分かるだろう」
土方副長の呆れた顔を見て、ぷっと沖田総司が吹きだす。
「俺には分からなかったぞ!福田君には救護班をやってもらえば、医者を呼ぶ金もかからず、隊士も元気になって!一石二鳥だろ!決まりだ!決まり!」
「何があっても、知らねえぞ」
なんだか、歓迎はされてないみたいだし、このいたたまれない雰囲気に耐えられないよ……
「あのぉ……もういいですから………」
「よし!歳の許可も出たことだし、朝餉の支度でも手伝ってきなさい」
えーー?!
許可でたの?本当に?!
「あーあ、また、拾ってきちゃったなぁ」
沖田総司が、んーっと伸びをした。
私はこうして、浪士組にお世話になることになりました。
最初のコメントを投稿しよう!