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壬生浪士組は八木という民家の離れを間借りしている。
朝餉(朝ご飯)の準備を手伝おうと玄関を出て草履をはく。
冷たい空気にのって味噌汁の匂いのする方へ屋敷の庭を歩いていく。
「おはようさん」
「!?……おはようございます」
前掛けをしてお膳を持った女の人に後ろから声を掛けられた。
「新しい隊士はん?」
「はい!朝餉のお手伝いに来ました」
「ほな、これ」
手渡されたお膳を持って玄関に着くと藤堂平助さんが走ってきた。
「まいど!」
ひったくるように受け取って
「で、姉ちゃんいるの?」
「……いません」
「ちっ、親戚にもいないか。十八、九………いや二十歳以上がいいな」
そんな藤堂さんを置いて次の膳を受け取りにいった。
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