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「おかしいと思ったんだ。身なりもきちんとしてるし、街の娘よりこんなに肌も白いし、不思議な香りもする。家出娘なら帰るとこあるだろ?」
……沖田総司さんものすごく間違っているよ。
「さあ、帰りなさい」
「………だから、帰るところなんてないんです」
「君にはここは無理だと思う」
淡々と話す沖田総司の目はとても冷たい。
なんとなく気付いてたけど、嫌われてるって。
「私がいたら迷惑なんですね?」
沖田総司は一瞬返事に間を置いたけれど
「うん。君がいると、迷惑だ。だから出て行って欲しい」
こんなに面と向かって人に迷惑なんて言われたのは生まれて初めてだった。
すごくショックだった。
気がつくと涙がぽたり畳に落ちていた。
「はい、荷物忘れないでね」
沖田総司が私の顔を見ないように目を伏せて、風呂敷を手渡す。
私はそれを畳に叩きつけて裸足のまま外へ飛び出した。
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