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「私も馬越さんも井上さんが好きってことですよ!お姉さんも井上さんが……蒼介さんが好きってことですよ!!いい加減分かってください!!!」
ぎゅっと井上さんに回した腕に力を入れた。
「だから、寂しい!分かるでしょう?いなくなったら寂しいし、きっとたくさん泣くよ!」
顔を上げると、井上さんの方が泣きそうな顔で見下ろしていた。
「……困るんです。私の事で誰かが泣くのは、もうこれ以上見たくない」
「しょうがないじゃん。みんな井上さんの事好きなんだから」
もう一度ぎゅっと抱き締めた。
「これこれ。こんな真昼間にこんな目立つところで。そういうことはこっそり二人だけでやんなさい」
井上源さんが、笑いながら横をすり抜けて行った。
慌てて井上さんから飛び退いた。
「すみません!思わずぎゅってしちゃって!ハグは世界共通の大好き表現かなと思って……」
何を言ってるんだ!私は!!
友達ならともかく!井上さんは歳上で大人で男の人なんだよ!!
意外と胸板厚かったな……とか、違うだろ!
今そんなことどうでもいいだろ!!
「だって!全然好きだって伝わらないから!いや!好きって友達として、好きってことですよ!」
言い訳する度に、段々困惑の表情が深くなっていく井上さんを見ていたら、いたたまれなくなってその場を逃げ出した。
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