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「そういえば、お珠ちゃん元気でした?」
お珠ちゃんとの約束を守るために、馬越さんにお手紙を持って行ってもらった。
「元気でしたよ……今度お雪ちゃんの兄に会いたいと言ってましたから、そのうち来るのではないかな……」
ぼそぼそ興味なさげに、返事をした。
「え!どうしよう!!会ったら私だってばれません!?」
馬越さんは顔をあげて
「……それより、まさかとは思いますが、俺とお珠ちゃんの仲をどうこうしようと思ってませんよね?」
「え?だって馬越さん、お珠ちゃんのことかわいいって………」
「……余計な世話です」
馬越さんはむすっとして帳簿を持って部屋を出て行った。
珍しい。
馬越さんが女の子がらみで怒るなんて……
やっぱり、胃腸の具合がまだ悪いのだろうか?
馬越さんと入れ替わりに永倉さんが入ってきた。
「福田あれだなあ~」
障子にもたれたまま馬越さんの出て行った方を向いて
「人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られて死んじまえってか?」
「邪魔なんかしてませんよ!応援してるんです。それより、また隊士がぶっ倒れましたか?」
「いやいや。土方さんが呼んでるよ。すぐ来いってさ」
永倉さんは隣の柴犬そっくりな笑顔で
「お前の妹、井上の許嫁なんだろ?かわいかったなぁ~!まあ、井上なら妹が惚れるのもしょうがねぇか」
……私だってばれてないんだ
「……そうですね」
「恋っていえば、左之助もめずらしく!てこずっておもしれーぞ」
あ!
おまささんかな?
そういえば、大勘違い発言からどうなっているんだろう?
「総司も医者の娘と怪しいし」
……ばれてますよ、沖田さん…………
遠くで鴬が鳴く。
みんな春だねぇ。
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