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「と、いう訳で、隊士募集のお仕事を賜りました~」
巡察から戻ってきた沖田さんに得意気に話していると
「俺は忙しいから、福田達でやって」
沖田さんは刀を置いて畳に横になった。
「え!芹沢局長が沖田さんもって言ってましたよ?将軍様の下坂の警備ですよ!すごいんですよ!!」
「…………分かってるよ。近藤さんもついに攘夷決行の日が近付いたって、隊旗や提灯作ってたし」
「――将軍様の下坂って、攘夷決行のことなんですか?」
外国と戦争になるの?
沖田さんが面倒くさそうに寝返りうってこっちを見た。
「……大阪まで遊びに行くわけじゃないぞ?」
――――下坂って大阪へ行くことなのね……知らなかった。
「攘夷となったら、港の守りが要だから、大阪の港を視察に行くんだぞ」
「………分かってますよ。でも、外国に勝てるんですか?日本は、戦争で負けてるし………」
「何言ってんだ?まだ戦も始まってないのに」
「………そうですね。でも負けると思います。刀と鉄砲なら、鉄砲が勝つでしょう?」
沖田さんは急に体を起こすと刀をとった。
「………どっちが勝つかやってみるか?」
片膝立てて睨みつけられた。
――怖い
背中がぞくりとした。
前に、阿比留さんを訪ねてきた殿内に向けた視線とそっくりだった。
怖くて、視線も外せない。
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