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「そんな腰抜けは、ここにはいらねぇ………攘夷の志のないものはいらねぇ」
冷たい目で見られて、軽蔑の目で見られて背中が冷たくなった。
沖田さんは息をついて刀を置いた。
「……お前には関わり合いの無いことだけどな。福田は雑用係だからな。女だし」
またごろんと横になった。
怖かったけど女だしにちょっと頭にきた。
「…………攘夷とか訳わかんないけど!女だけど!私は負けると分かってる戦をするなんて訳が分かりません」
沖田さんは頭を起こして
「負けるって誰が言ったんだ?公事宿で幕府の役人にでも聞いたのか?それなら、黙っておめおめ異国にこの国を乗っ取られたいのか?」
「違うってば!そういうことじゃ!!」
「じゃあ何だよ?」
そう言われると言葉につまる…………
「……だって、戦争になったら、たくさんの人が死ぬでしょう?皆、死んで欲しくありません」
沖田さんも
馬越さんも
井上さんも
近藤局長も皆………
「――ばかかお前は。皆、死ぬ覚悟をして、ここにいるのに」
沖田さんは目を閉じた。
「だから、お前にはここは無理だって言ったんだ」
井上さんが言ってた。
沖田さんたちは将軍上洛の警備で江戸から来たんだって。
攘夷決行の日を決めるために将軍様は京都に来た。
それが近々決まる。
決まったら外国と戦争になるの?
刀と黒船が戦うの?
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