第2話

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4 「な…… 何が起こったんだ」  拓は煙と土埃が立ちこめる中ゆっくりと立ち上がった。あたりは濛々と黒煙が立ちこめ煙の奥にチラチラと小さい火がいくつか見える。 「爆弾……」  拓は愕然とトレーラーや機材小屋を見た。完全に破壊されたようだ。拓は立木たちを救えなかったことを後悔したが、嘆いている暇はない。  拓はすぐに上空に退避したサクラを見上げる。サクラも不快そうな顔で降りてくる。 「どうして爆弾があるってわかったんだサクラ」 「JOLJUからの電話で」と拓に答え、携帯電話に向かって怒鳴る。 「つーか、こら!! アンタがモタモタしてるから貴重な敵の捕虜が死んだぞ!!」 『最初にオイラ逃げろっていうたのに……』 「あんな冗談みたいな言い方されて信じられるか!」 『それよりもっと重要なことがわかたJO』  二人とも、今の爆発に責任や後悔はまったくないようだ。 「おい。この非常時に何してンだお前! ……ん……」  拓も何がどうなっているのか分からず混乱状態だったが、サクラが誰かと電話で話しているのが目に入り、一先ず飛び出しかかっていた文句を飲み込むと周りを確認しサクラの近くに移動した。そこはカメラの死角で映らない。 「で? どう重要なんじゃい」 『ンじゃ手短に……』  JOLJUは全然手短くない、いつもののんびりとした口調で説明を始めた。  そして、それは確かに重要かつ深刻な内容だった。  さっきの爆発は確かに運営が行ったものだったが、調べてみたところ、そのシステムは運営の意図したものではなかった。あの爆発は、<B・メーカー>の賭け参加者が<ボンバー・システム>を利用し行われたものだという。  <ボンバー・システム>……紫ノ上島のいたるところに爆弾が仕掛けられていて、その爆弾を爆発させる権利だ。特別会員のみ行使できる権利で行使権は一回100万ドル、複数箇所同時使用は禁止、連続使用も禁止。特別会員たちはこの<ボンバー・システム>使用は、【エリア内で何人死ぬか】を特別会員同士で賭け合う……そういう参加者たちへのスペシャルボーナスゲーム・システムだ。  ただしいくつか制限があり、まず<天使役>単独を狙う事はできない。爆弾は最短で3分以上から。このシステムが始動すれば島の参加者たちには腕輪の<死神>探知のライトが通常の青の点等ではなく赤で点等し、一応警告される、ということだ。
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