プロローグ

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寒い冬も過ぎ春の暖かさが感じられるようになった、3月中旬。 世間が就職やら受験やら恋愛やらで大騒ぎしている頃、 一機の巨大ジェット機が日本に向けて猛スピードで飛行していた。 機内はその外見と同様に広々とした作りだったが、座席は中央にソファーが1つだけだった。 その白いソファーにブロンドの髪をした端正な顔の男が高級ワインを片手に、眼下に広がる大平洋を横目に見ながらくつろいでいた。 男が身に付けている虹色に輝くネックレスとピアスがよりいっそうその綺麗な顔を際立たせている。 しかし男はもう片方の手を額にあて、深いため息をつきながら、苦悶の表情を浮かべた。
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