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「ふう…暑い…」
照りつける太陽に夏の輝きが増してきた頃―――
あるトラブル解決の為、返品されてきた商品に書かれた住所を頼りにその家を探している。
住所の先は、郊外の古いとある団地だ。
人間の居住区と言うより、まるでたくさんの四角い鳥の巣箱が積み重なったような感覚がするのは、夏の暑さのせいだろうか?
いや鳥の巣箱より養鶏場の鶏の居住区…なんだかそんな密閉されているように見える空間が、息苦しさすら感じてしまう。
ストーブ一つで蒸し焼きにされそうな息苦しさ。
エレベーターもない三階…
落ちた体力と暑さで簡単に息が上がる。
「きっつ…なんだってこんなとこに」
ブツブツ言いながら部屋の番号を探す俺は、一番端の部屋の前まで来て立ち止まった。
「あれ?ここじゃねえの?どうなってんだよ…」
苛立ち紛れに、その部屋の住人に聞いてやろうとインターフォンを鳴らそうとして俺は指を止めた。
扉の横の窓が僅かに開いている。
中には人がいるらしく声が漏れていた。
左右を見渡し誰も居ないのを確認して、ソッと中を覗く。
「会長さ…もう…やめて…くださ……」
「はあはあ…ワシもそうしてやりたいが、返すもん返せんのだから仕方ないだろうが…恨むなら借金だけして女と逃げた亭主を恨むしかないわなあ」
聞き覚えのある湿った音が部屋から流れてくる。
30代中頃の女性がブラウスの前を開かれ、露になった乳房を背後から揉まれている。
「ぐぅ…嫌っ……やめ…助け…」
畳に押し付けられ四つん這いにされた二人の間では、紛れもなく背後にいる60代の男のモノが出入りする。
卑猥な音に酔うように、男は脂ぎった顔に汗を滝のごとく噴き出させ、緩みに緩んだ脂肪まみれの腹を揺すり、ゆっくり腰を前後させている。
「グフフ…だがあんたは運がいい。万引き現場を見たのが…ワシだったんだからな。つき出されずに済んだんだ…」
女性の背中に覆い被さるように乗り、涎すら滴らせた醜い顔を寄せて乳房を揉み激しく腰を前後させ始めた。
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