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「ぶはっ、なにそれ、ダッサーい」
マルチェロくん、冴丸くんのうなじを見て、
思わず爆笑しました。
なんと、冴丸くんのうなじには、
バーコードのタトゥーが彫ってあったのです。
「うん、認めるよ。
君は人間じゃない。ラブドールだ」
「そない笑わんでも……。
え、それになんか、えらいあっさり信じるんすね」
「え? だってどこの人類がそんなダッサいもの彫ったりするの?
しないよね? 人類は。
そんなダッサイの」
「……あはは」
冴丸くん、もう笑うしかできません。
「うん!
というわけで、
僕は今からローザにクーリングオフの手続きをお願いすることにするよ」
そう言うや否や、
マルチェロくんは立ち上がり、
風の如く電話機の方へ。
「いーやいやいや、あかんあかんって! 」
冴丸くんは、
そうはさせまいと、
マルチェロくんの前に立ちはだかります。
「DO・KE」
「イヤっす!
マスターが俺の地区Bを押した瞬間から、
俺はもぅマスターしか愛せないんっす!
なのに、それやのにピンポンダッシュなんて、卑劣っす! 」
「はぁぁ? そんなの僕の知ったこっちゃないね!
もー、寄るな!
ホモドールは原子に還れ! 」
マルチェロくんは、
わいわい騒ぎ立てる冴丸くんの爪先を踏ん付けると、
さっさと受話器を取るのでした。
ピッポッパッペ。
「あぁ、……俺、
このままやと工場帰ってもスクラップに……」
しかし、そんな冴丸くんの嘆きなんてお構いなしに、
マルチェロくんは番号を押すのでした。
こうなれば冴丸くん、
最終手段です。
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