1.押しますか? 押しませんか?

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マルチェロくんが部屋の灯りをつけると、 固定電話のランプが、 チカチカ 点滅しているのが見えました。 留守の間に、誰かがメッセージを残したのでしょう。 マルチェロくんは、 『誰だろう』 そう思いながら、 メッセージの再生ボタンを押しました。 『はーい(ハート)マル、 誕生日おめでとー。 わたしよ私、ローザよ』 メッセージの声は、 ロロブリジーダ家の長女で、マルチェロくんの双子の妹。 ひとよんで、『貴腐人のローザ』 32歳独身(既婚歴あり)でした。 『えーっと、家にいないってことは、 ……彼氏にでもお祝いしてもらってたりするのかしら? 』 マルチェロくんは、 すかさず内心で応答します。 『お一人様ですが何か? 嬢に子供扱いされて泣いて帰ってきましたが何か? あと妄想も大概にしろ“ド腐れちゃん”』 『うん、そうよね。 “リアルじゃ”、マルはお一人様。 そう思ってね、わたし、 身も心もさみしいマルのために、 いいものをプレゼントしたのよ。 うふっ、私って親切よね』 『いいもの? 』 『ふふ腐っ、それは届いてからのお・た・の・し・みっ♪ きっと気に入ると思うわ。 だからせいぜいたっぷり可愛がってもらってね。 フーゾク通いのド腐れ……いや魔法使いくんっ』 ブチッ 最後のひとことに、 ローザ嬢の悪意を感じた マルチェロくんでした。
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