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マルチェロくんが部屋の灯りをつけると、
固定電話のランプが、
チカチカ
点滅しているのが見えました。
留守の間に、誰かがメッセージを残したのでしょう。
マルチェロくんは、
『誰だろう』
そう思いながら、
メッセージの再生ボタンを押しました。
『はーい(ハート)マル、
誕生日おめでとー。
わたしよ私、ローザよ』
メッセージの声は、
ロロブリジーダ家の長女で、マルチェロくんの双子の妹。
ひとよんで、『貴腐人のローザ』
32歳独身(既婚歴あり)でした。
『えーっと、家にいないってことは、
……彼氏にでもお祝いしてもらってたりするのかしら? 』
マルチェロくんは、
すかさず内心で応答します。
『お一人様ですが何か?
嬢に子供扱いされて泣いて帰ってきましたが何か?
あと妄想も大概にしろ“ド腐れちゃん”』
『うん、そうよね。
“リアルじゃ”、マルはお一人様。
そう思ってね、わたし、
身も心もさみしいマルのために、
いいものをプレゼントしたのよ。
うふっ、私って親切よね』
『いいもの? 』
『ふふ腐っ、それは届いてからのお・た・の・し・みっ♪
きっと気に入ると思うわ。
だからせいぜいたっぷり可愛がってもらってね。
フーゾク通いのド腐れ……いや魔法使いくんっ』
ブチッ
最後のひとことに、
ローザ嬢の悪意を感じた
マルチェロくんでした。
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