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“口は災いの元”とはよく言ったもので、俺が仮面ライダーであることがマスターや他のひとに知られたら…
ね、姉ちゃんに殺されそうだ。
姉ちゃんは四年前に亡くなった両親の親代わりになってくれている。心配も迷惑もかけたくない。
まあそれはそれとしてキレると手がつけられない上に過保護。バレたらアウトの要素満載である。
うーむ、どうしたものか。
コーヒーをすすりながら、ぼんやり考え込んでいると、ドアが開いて客が入ってきた。
「……!」
あまりの綺麗さに目を奪われた。
その女性はオレンジのニット帽、白いパーカーにデニムのショートパンツを着た茶色みがかったロングへア。
開口一番にこう言った。
「コーヒーをひとつ」
「か、かしこまりました~っ!」
アンタがかしこまってんじゃねーか。
まあ、わかる気がするが。
「…あの、なにか?」
「はわっ!い、いやなにも…」
ついつい見いってしまっていたらしい。が、どこかで見たような…。
気のせいか?
コーヒーを飲む姿に惹かれ…
イヤイヤイヤイヤ…。
そうこうしているうちに、コーヒーを飲み干した女性は
「ごちそうさまでした」
と言って、お代をカウンターに置いて出ていった。
「…」
「…キレーな人でしたね」
「…ああ」
ふと時計を見るともう大分時間が経過していた。
「あ、そろそろ帰んないと」
「おう、姉ちゃんによろしくな」
「ウス」
ーーーーーー
暗くなりつつある夜道を歩いていると妙な気配を感じる。
すると
「…?」
『ガァッ!』
「ぐっ…!」
いきなり吹っ飛ばされた。
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