小鳥遊 遊 その1

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「ふたりとも、生き残れよ」と銭形さんが言う。銭形さんは僕たちの引率者だった。銭形さんはうそ臭いことこのうえないが、自分のことを銭形平次だと言っているおっさんだった。どこか疲れたような顔をしている。  僕は愛想笑いをしたのだけれど三笠くんは気に食わないのか、無視してゲーム会場に向かっていく。  ゲーム会場にはとっくに参加者が集まっていた。  僕たちはじゃんけんしていたせいで時間がかかった。しかも一回勝負じゃなくて三回勝負にしたから余計に時間がかかっていた。  他の地方代表が話し合いで決めたのだとしたら、感心してしまう。やっぱりそうやって決めれるほうが、後味が悪くなくていいような気がする。いや……むしろ運に任せた僕たちのほうが後味がいいのか。 いや舌触りの良さのような、心地良さなんて求めてないのだけれど。 ん? だとしたら感心していいものなのだろうか。なんだか混乱してきたので思考を止める。
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