小鳥遊 遊 その1

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「全員揃いましたので、更に詳細なルールを説明させていただきます」  マリオネ(と呼ぶと銭形さんが教えてくれた)は僕が思考を止めたのと同時に喋り出す。  同時だったのはただの偶然だろう。 「詳細なルールってどういうことですかー?」  元気良く手をあげながら女の子が言う。ボーイッシュで少し好みの女の子だった。 「神経衰弱ってものを考えてみてください」  マリオネが言った。神経衰弱っていうのは一般的に52枚のカードを裏にしておいて、ペアを当てていくゲームだ。誰だって知ってる。それを今回は5枚同時に当てる。12ペアで。 「……あ?」  そこまで考えて僕は気づく。5枚当てるということは一回で5枚めくるチャンスがあるってことだ。  そうして今回使うのは54枚。ペアは12。つまり一周で全てのカードがめくれてしまう。  トランプゲームっていうものは人数の適正がある。神経衰弱は大人数でやるものだけれど、さすがにこの人数は多いような気がするし、さらにめくる枚数も多い。  そう考えるとゲームバランスがおかしい。
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