小鳥遊 遊 その1

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「ご覧のように、めくったカードにはランダムにアルファベットで印がつけられ、めくったことが分かるようになります」 「つまり、めくったカードは見れるけど、そのカードのスーツとか数字は分からないようになってるってことですか?」 「ええ、そう捉えてもらっても構いません。あなたがたは、その印でカードを推測し、めくっていく必要があります。もちろん、ペアがめくったカードや今私めがめくったカードは確認することができますので、推測の材料にはなりえます」  推測、とマリオネは言うが、数字が見えない以上、本来の神経衰弱よりも圧倒的に情報量が少ない。  神経衰弱というのは他人がめくったときの情報と、運が勝利を呼び込むと僕は思っているのだけれど、5枚めくる時点で運に頼ることは難しく、さらに情報量も絞られる。こんな状況でどうやって戦えばいいのか。  さらに、勝てるのはたった2ペア。  そう思うとドシンとプレッシャーがのしかかる。  僕は勝てるのか、喉が急激に渇き出す。  まだ始まってもいないのに、緊張感に押し潰されそうになる。 「次はあなたの番です」
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