小鳥遊 遊 その1

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 僕と三笠くんはじゃんけんに負けたという消極的な理由で、ゲームに挑むことになった。 「ついてねぇなあ」  と三笠くんは言ったので、僕もその通りだと思ったので、頷いておく。  そもそもじゃんけんで負けた人間に勝利を求めるのは間違っていると思われるのだけれど、それでも「頑張ってよ」と言ってくる。  何かの委員会とかそういうのを、じゃんけんで負けて押しつけられて、他人事みたいに頑張れといわれる、それと同じだ。  そんなものにやる気は感じられない。けれども、やらなきゃ死ぬのだから、微妙な感じだ。 「まあ、行こうよ。三笠くん」 「行くには行くさ」  僕の言葉が、聞き分けのない子を諭すような言葉に聞こえたのかもしれない。  苛立って、三笠くんは答える。  三笠くんとはパートナーになるわけだから良好な関係を築いておかないといけないのだけれど、僕と三笠くんは学校で一度も話したことがないのだから、こうやってリードを取っていることですら、気に食わないと思われているのかもしれない。
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