1.神ノ子

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 おい、そこの君、まさか、どっかの我が儘(わがまま)女が部長をやっている部活だと思ったか?そう発想したのならば、残念だと言ってやろう。この部活の部長は、この俺、ジョンである。部活の内容は、夏休みまでは世界の不思議を研究することをメインにしていたが、今は違う。  俺達は、一つの目的に為に活動していた。 「春日さんは今日も欠席ですか?」  部室に入るなり、副部長の小泉宗一郎が白々しく聞いてきた。 「何を今更、お前の情報網をもってすれば、すぐに分かるだろう」 「一応、聞いてみただけです」  いつもポーカーフェイスで表情を崩さない宗一郎は正直なところ、何を考えているのか分からない。それでも、いざという時は頼りになる仲間であることは変わりなかった。 「あ、ジョン君。丁度、お茶が沸いたよ」  ゴスロリのメイド服を着ている彼女は、夜雛胡桃(よるびな くるみ)。この部活のマスコットキャラを演じてくれている。変に演技されるとかえって気を遣ってしまうのだが、すぐにそれは解消された。 「ちょっと!胡桃!あんたのところの族、また交通違反したじゃないの!」  俺のあとから部室にやってきたのは、眼鏡が印象的な活発的な女子だ。名前は鳴門雪那(なると せつな)。雪那は部室に入るなり、お茶汲みをしていた胡桃ちゃんに詰め寄る。俺の姿など、まるで眼中に入っていないようだ。 「これ見なさい!昨日の深夜十一時頃!高速での速度違反!」  雪那が胡桃ちゃんに突きつけたのは、警視庁の印が押された違反切符。それを突きつけられた胡桃ちゃんは声を荒げて言い返した。今の愛らしい印象を変える口調だ。こっちの方が俺達にとって聞き慣れた声であるのだが。 「うるせーよ。人っ子一人、走っていねー高速道路でのことだろうが!誰にも迷惑かけてねーんだから騒ぐんじゃねーよ」 「そう言う、問題じゃないわ!違反は違反よ!」  胡桃ちゃんと雪那の言い争いは、この部活の名物になりつつあった。
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