友よあなたは強かった(1)

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 姉ちゃんまで……! どーせヒマと言われたその瞬間、杉本くんの表情がショックで固まった。プププッとエリナが笑いをこらえている。姉弟(きようだい)げんかしないで、としかわたしは言えなかった。 「でもなんかして遊びたいね」とエリナが言った。「なんかないの?」  う~んとわたしは首をひねる。「人生ゲームとか」  群馬まで来て人生ゲームか……。彼女はあまり乗り気でない様子だが、いいじゃんみんなで楽しめてと杉本くんは言う。異論はなかった。金持ちになる夢くらい見たいもんねと瑞希さんが言い、一緒に遊ぶ気満々のお母さんもそうよと同意した。  こうしてわたしは2階の自分の部屋に行き、クローゼットの奥から大きく平たいその箱を持ち出す。下へ戻る際、また佳太の部屋の戸を叩いた。 「ねえケータ、一緒に人生ゲーム」  やんない? と最後まで口にする余地はなかった。彼は言ったとおりきちんと机に向かっていたからだ。は? 人生ゲーム? こっちリアルに人生懸ってんだけど。そう言わんばかりにやはり一瞥もくれない。 「ね、わかんないとこあったら──」 「なんでおれの機嫌取ろうとすんの?」ふとシャーペンを持つ彼の手が止まる。 「え……?」 「おトモダチに愛想悪くしたら困るから? なら顔見せなきゃいいんだろ?」 「そんなこと……」 「晩メシできたら持ってきて。風呂は夜中に入っから」 「……。もういいっ!」  吐き捨て、わたしはバタンと音を立てて戸を閉めた。
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