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姉ちゃんまで……! どーせヒマと言われたその瞬間、杉本くんの表情がショックで固まった。プププッとエリナが笑いをこらえている。姉弟(きようだい)げんかしないで、としかわたしは言えなかった。
「でもなんかして遊びたいね」とエリナが言った。「なんかないの?」
う~んとわたしは首をひねる。「人生ゲームとか」
群馬まで来て人生ゲームか……。彼女はあまり乗り気でない様子だが、いいじゃんみんなで楽しめてと杉本くんは言う。異論はなかった。金持ちになる夢くらい見たいもんねと瑞希さんが言い、一緒に遊ぶ気満々のお母さんもそうよと同意した。
こうしてわたしは2階の自分の部屋に行き、クローゼットの奥から大きく平たいその箱を持ち出す。下へ戻る際、また佳太の部屋の戸を叩いた。
「ねえケータ、一緒に人生ゲーム」
やんない? と最後まで口にする余地はなかった。彼は言ったとおりきちんと机に向かっていたからだ。は? 人生ゲーム? こっちリアルに人生懸ってんだけど。そう言わんばかりにやはり一瞥もくれない。
「ね、わかんないとこあったら──」
「なんでおれの機嫌取ろうとすんの?」ふとシャーペンを持つ彼の手が止まる。
「え……?」
「おトモダチに愛想悪くしたら困るから? なら顔見せなきゃいいんだろ?」
「そんなこと……」
「晩メシできたら持ってきて。風呂は夜中に入っから」
「……。もういいっ!」
吐き捨て、わたしはバタンと音を立てて戸を閉めた。
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