第1話

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ふるさとの道を歩く 家の煙突からは モクモクと煙が上がっていた 『心配しなくても元気だよ』と言いたげに おふくろが 空にスケッチを描いている 『今、帰ったよ』 そう答えるように 僕は おもむろに煙草の煙で返した いつの日か… 家の煙突から煙の上がらない日が来るのだろう 消しゴムみたいな雲が 煙をキレイに消して 空は透き通るのかもしれない 『煙草は体に良くないよ』 の言葉が聞こえてきた 僕は逆らうように 2本目の煙草に火をつけ、空へ煙を吐き出した 雲の消しゴムを かき消すように 力一杯強く吐き出した 『また来るよ』 やがて煙突の煙と 煙草の煙は混ざり合い 一つになった この雲が消えないようにと 願いながら 僕は 空を見ながら 『わかったよ』 と答えると すぐに煙草をもみ消した
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