第1話 一次職時代

第1話

この世界には、３種類程お金を稼ぐ方法がある。

一つ目は、普通に社会人として稼ぐ。
二つ目は、悪事をして稼ぐ。
そして、最後の三つめはつい最近出来た稼ぎかた。

それが、"ゲーム"をして稼ぐである。

詳しく説明すると、今私が居る世界『ヴァーチャルワールド』の中に広がる国が運営するVRMMO『ビューティフルオンライン』で稼ぐという方法だ。
このVRMMOで遊んでいるユーザー同士が戦うPVP、そしてプレイヤー同士が集いギルドを作り、そのギルド同士で戦うGvGという方法で一攫千金出来る仕組みだ。
今までキャバ嬢をして食い繋いでいた私としては、水商売から抜け出したい……、その一心で六本木のNo1キャバ嬢の座を捨ててこのVRMMOへとやってきた。
キャバ時代の友人達曰く、普通に狩りをして得たゲーム内のお金も換金できるよ、と言われて私は友人達に貰ったメモを見ながら、ビューティフルオンラインの前に立ちすくんでいる。
友人には最初の投資額が必要と言われ、経験値アップ、ドロップ率アップ等の優遇サービスを受ける為のプレミアムサービス代のお金も用意した。
もちろん、私用の為に使うには一番大きい金額で弟の為にとNo1キャバ嬢をしながらもケチケチ生活をして貯めたお金の中の一つだ。

たった一ヶ月なのに娯楽の為にこれだけ消えるのか、そう思うと手が震えた。
基本無料なんだし、最初からゲームにお金を使わなくても……そう思ったものの、友人の言葉を思いだす。

『亜樹、アンタこれから無職になるんだよ?　弟君に嫌な思いをさせないようにってキャバを止めるんでしょ?　さっさと稼ぐ努力くらいをしないと!!』

机を叩き付けながら、友人が叱ってくれた。
その友人のお陰で、私は踏み切る事ができて今の私があるんだ。
キャバのオーナーはいつでも戻っておいで、と笑顔で言ってくれたけれども戻りたくはない、そして弟の為にも戻れない。