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私は、深呼吸をして目の前にある大理石と金で出来た建物を見つめなおす。
いかにもセレブ、って感じの建物だ。
カツカツカツ、とヒールの音を立てながらビューティフルオンライン(通称美オン)の建物の中へと入る。
私のアバターは、いつもと似たような女の子のアバターにキャバ嬢っぽいドレスを着せただけのいつもとかわらないアバターなのだけれども、何故だか緊張する。
全ては手の中にある五千円という大金のせいだ、とすぐ気が付き自分のケチ臭い性格に嫌気がした。
「いらっしゃいませ、ビューティフルオンラインは始めての方ですか?」
「はい、そうです」
清楚そうで対応も丁寧で……、いかにも訓練された高月給取りって感じのお姉さんが出迎えてくれた。
私が頷くと、そそくさとお姉さんは手元にあったパソコンに何かを入力し始め、数秒後に私の目の前には黒いスクリーンが出てくる。
キャラクター選択という画面とともに、四種類の種族が出ていた。
すかさず、手渡されたメモを確認する。
*-種族一覧-*
一つめは、万能だけれども器用貧乏な人間。
二つめは、魔法攻撃と俊敏力が高いエルフ。
三つめは、物理攻撃と物理防御が高いドワーフ。
四つめは、魔法防御と移動速度が高いミュッテ。
種族は、この後選ぶ職業に関係してくるとても大切な要素。
職業を決めてから、種族を決める事。
メモを読み終えると、私はペラペラとメモを何枚かめくり、急ぎながら職業一覧を探す。
少し飛ばしていたらしく、一番最後のページになったところで最初のページに戻って、種族一覧の次のページに職業一覧が載っていたのでそこを読みふけるのだった。
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