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荒れ果てた辺境の都市遺跡を、真っ赤に燃える夕陽が照らす。
俺たちのいる小高い丘も同じ。みんなの顔も暖かな夕陽色。
「…………」
俺は立ち上がってみんなが座ってる輪の中心に、一歩二歩と進む。
みんな不思議がったりしない。
そもそも俺の存在が不思議なんだ、みんな今さら俺に対して疑問の眼差しを向けたりしない。
サクサク…と遺跡の欠片を踏み潰し、俺はみんなの顔を見回す。
俺にはたくさんの仲間がいる。今いる彼らをはじめ、ここに来るまでに出会い、そして別れた人はみんな仲間だと俺は思っている。
たとえこの世にいなくても。
“あの子”は俺の大切な仲間だ。
気取った言い方をするなら、
『心のなかで生きてるんだ』
って本心から言える。
たくさんの仲間たち。
正面にあぐらをかいて頬杖を突いているのは、俺に生きるすべを教えてくれた孤高の少年。照れ臭そうに目を逸らしやがる。
その右隣にいるやつは、みなしごでありながら明るく振る舞う、妹みたいな子。今もにこにこ笑ってる。
その子の反対側にいる常に冷静沈着な彼は、岩に腰掛け俺をただジッ…と見上げている。こいつはいつも、こんな目で俺を見ていたっけ。
そんな彼を背もたれにしているのは、最初は仲が悪かった傾国の美女。みんなとの仲を良くしたの俺なんだけど、スゲェ苦労したんだぜ?
そして最後に、俺は背後を振り返る。
今まで逆八の字だった細い眉は、すっかり八の字に傾いている。何泣きそうな顔してんだよ、って突っ込んでやりたかったけど、そんなこと言ったら本当に泣き出しそうだからやめた。
それに強気じゃないと彼女らしくない。
俺はニッ!! て笑って今度は上を向いた。
「……なぁ、みんな。ちょっと…、いや、かなり聞いてくれ。長くなりそうなんだ…」
呼び掛けると無言の肯定。
「俺が…俺たちが歩んできた思い出…、物語を」
俺は一回深呼吸すると、白く濁った息を吐いた。
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