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ああ、そうだ。今日は日曜日だった。残業と休日出勤のオンパレードのお陰で曜日感覚に狂いが生じている。工場勤務なのに1ヶ月の残業時間が40時間を余裕でぶっちぎるなんて、悪夢としか思えない。
「まあ…夢じゃなくて現実なんだけどな…」
現実は夢のように甘くない。どこまでも辛く、いつまでも厳しいものだ。
だからそれを乗り越えられたら強い人間になれる。とかなんとか、会社の上司に諭されたっけ。
「……わからない話だ」
俺にはわからない。だって現実ってのは死ぬまで続くんだろ?
現実を乗り越えた先は、つまり死後の世界であって、強いも弱いもないじゃないか。
『叶えたい夢があったとして、叶えたいならまず厳しい現実を乗り越えてからにしろ』
とかなんとか言われても、反応しようがない。厳しい現実ってなんだよ…って感じ。
そんなの現在進行形で味わってる。
辛くて厳しい現実。
今生きている『現実』に艱難辛苦しかないのなら、やっぱり乗り越えた先は死後の世界なんだろう。
「死後の世界なんて信じないけどな…。さて、起きるか」
今日はちょっと独り言が多いな…。
日曜だったことへの安心感が口数を多くしているんだなってこの時思った。
俺は慌てて起きた時に乱れた布団をたたみ、厚いカーテンを開けた。朝日が一気に身体中を駆け巡り、スイッチを入れる。
部屋に舞うホコリが陽光を反射し、キラキラ輝いていた。冬の朝日ってなんでこんなに綺麗なんだろうな…って思った。
「んっ…! んー…うっ!」
朝日を取り込んだら窓を開けて空気を吸う。ツンと冷たい空気が頬を撫で、肺の中に侵入。伸びをしながらそれを吐き出すと、バキバキって骨が鳴った。
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