第2話 川での営み

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第2話 川での営み

熊の親子はしばらくその場でジャレ合っていた。その風景を見ながら、ふと我に返り「死ねなかった。。。」と呟いた。 さてどうしようか。酔いはほとんど残ってないけど、頭がぼーっとした感じで、空腹だけど水を飲みたい。とりあえずその場から立ち去り水場を探して歩き始めた。 と同時に熊の親子もなんとなく付いて来る。ん~、これは走って逃げた方が良いのだろうか?しかし走るほどの力が残ってない。なんて考えながらもしばらく歩いていると、川の流れる音が聞こえ始めたので、そちらの方向へ向かう。 石コロだらけの川辺に辿り着いた頃には日もだいぶ明けて、太陽の眩しさに頭がクラクラしていた。熊達の川の水を飲んでいるような水浴びをしているような姿を見ながら、川の水は直接飲めないしなぁとある出来事を思い出していた。 山に囲まれた盆地に住んでいた中学生の頃、週末は近辺の山に行って遊ぶ事が多かった。今週は北のあの山。また別の週は東の山などと気まぐれに登ったりしていた。 ある日の夕方、週末に登る山の下見に行ったのだけど、登山口の手前辺りで小学生の子ども一人とすれ違った。その少年がすれ違いざまに「上流で犬が死んでたし、川の水は飲んだらアカンよ。」と言ってきた。突然だったのと意外なメッセージだったので少し驚いたが「わかった。」とだけ返答してその場は終了。 そして次の日にその山に登ったのだけど、川沿いを行けども犬の死骸は見つからず。まして小学生が行けるような地形でもなかった。あれはなんだったのかわからないけれど、結局はいくら綺麗な川(清流)でも生水で飲む場合はリスクがあるという事。山で水を飲むならば岩から滲み出る水や湧き水を飲めという教えだったのだろう。 そんな事を思い出していると、川下の方からバシャバシャと音がしてきた。
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