第1話、森での目覚め

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第1話、森での目覚め

何かが俺の顔を押すような感覚がして目が覚めた。 まどろみの中、ゆっくり目を開けると熊が口先で俺の頬あたりを小突いて来た。声は出せずに心の中で「えぇ~っ!」と驚いたけど、そもそも俺は昨夜ウォッカのボトル一本持って、森に入り、そのまま永遠の眠りに付く予定だったのだ。 そうは言っても目が覚めたというか熊に起こされた。そして今喰われようとしているのだろうか?しかしその熊は攻撃的ではない。むしろ手加減をして俺を傷つけないように小突いている感じだ。 そしてその熊に隠れてすぐに気付かなかったけど小熊もいた。子どもを連れた熊には気を付けろ。警戒心も強くなっているから見たらすぐに離れろと言われたもんだ。しかし今回はあちらから近づいている。 ふとその小熊の足元を見ると、なにやら金属製の物体をぶら下げている。トラバサミ(虎挟み)という罠に掛かったようだった。批判の多い狩猟手法だけど、まだ存在しているのか?それとも昔に設置した罠に掛かってしまったのかわからないけど、今ここで一頭の小熊が苦しんでいるのは確かだ。そしてどうやらそれを外せという事で親熊が俺を起こしたのかも知れない。
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