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「あなたがトラブルメーカーじゃないことは分かっているわ」
と、これは由里が付け加えた。
2人で言い重なることもなく、何とも言葉のバトンが上手な姉妹である。
「それにね、あの手紙。私達夫婦に届けて、あなたと別れさせてほしいって意味を含めてるように感じたから、もしかしたら鴻のことを好きな女性の仕業じゃないかと思ったの。うちの子、そんなにモテないと思うのだけれど、どうも理由はそうとしか…これは女の勘よ」
いえ、かなーりモテているようです。
そんなツッコミを今出会ったばかりの、それも彼氏の母親にできるはずもなく。
「ところで、どっちから告白したの?」
トラブルメーカー云々、手紙云々はあっさりとどこかへ行ってしまい、輝かせた瞳で訊ねられた。
何やら学生時代に友達と恋バナをしているような錯覚に陥りそうな雰囲気。
こうなったら、この流れに乗ってしまおう。
「えっと、鴻さ…日野井さんから言ってくれまして…」
鴻の母親(プラス叔母)にこういうことを話すのって、変な気分。
「あらぁ、いつも呼んでいるようでいいのに。それで?フロアが違うでしょ?何がきっかけ?」
英里と由里は2人して、きゃっきゃっと楽しそうだ。
その姿を見ていると、自分が緊張していることが可笑しくなってきて強ばりがほぐれる。
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