第11話

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黙りこんでいると、2人が心配そうに顔を覗き込んでくる。 「やっぱり怒ってしまうわよね?本当にごめんなさい」 英里が眉尻を下げて、再度謝った。 「いいえっ。あの、何も怒ってません。ただ少し頭が混乱してしまって……」 ここは混乱の中身をひとつずつ解いていこう。 鴻さんと桜さんはイトコで、副社長と専務は姉妹な訳で。 専務の苗字が桜と同じだということは…。 そんな中で「桜」と言われれば、自分の知っている桜のことに違いない。 「…先ほど名前が出てきた桜さんって、もしかして受付の筒口桜さんでしょうか?」 「そう、娘よ。知り合いなの?」 あっさりと答えた由里。 「時々、一緒に食事に行ったりさせてもらってます」 「まぁまぁ、そうだったの?桜は、あなたと鴻がお付き合いしていることを知っているのかしら?」 「…えっと、はい」 「もぉ、あの子ったら。訊いても何も教えてくれなかったわ」 由里はぷ~っと頬を膨らませた。 母親と同じ年代に対してだけど、なんて可愛い人なのだろう、と思わずにいられなかった。 さすが桜さんのお母さんだ、と。
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