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黙りこんでいると、2人が心配そうに顔を覗き込んでくる。
「やっぱり怒ってしまうわよね?本当にごめんなさい」
英里が眉尻を下げて、再度謝った。
「いいえっ。あの、何も怒ってません。ただ少し頭が混乱してしまって……」
ここは混乱の中身をひとつずつ解いていこう。
鴻さんと桜さんはイトコで、副社長と専務は姉妹な訳で。
専務の苗字が桜と同じだということは…。
そんな中で「桜」と言われれば、自分の知っている桜のことに違いない。
「…先ほど名前が出てきた桜さんって、もしかして受付の筒口桜さんでしょうか?」
「そう、娘よ。知り合いなの?」
あっさりと答えた由里。
「時々、一緒に食事に行ったりさせてもらってます」
「まぁまぁ、そうだったの?桜は、あなたと鴻がお付き合いしていることを知っているのかしら?」
「…えっと、はい」
「もぉ、あの子ったら。訊いても何も教えてくれなかったわ」
由里はぷ~っと頬を膨らませた。
母親と同じ年代に対してだけど、なんて可愛い人なのだろう、と思わずにいられなかった。
さすが桜さんのお母さんだ、と。
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