第11話

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「鴻さんのお店にお客さんとして行ってました。そこでよくお話をするようになって、最初はこの会社の日野井さんだとは気づけていなかったんです」 「そうだったのね。同じ会社とは知らずにあの店で出会っていたなんて。もう、これは運命だわ~」 この場で一番若者のはずの彗星がついていけないぐらいに2人のテンションはぐんぐん上がっている。 ア然とするより他ない。 なんてパワフルなおばちゃ…いいえ、お母さま達なんだろう。 口を挟める隙もなく、ぽか~んと止まってしまっていた。 「あらあら、ごめんなさい。私達、息子達の恋愛話を聞くのが楽しみで。でも本人に訊いてもなかなか話してくれないものだから。ねぇ~?」 由里に同意を求めている。 「そうなのよ。最近、桜に訊いたばかりなのに知らないって言ってたから。あんなにしょっちゅう一緒にいるから知らないはずないのにね~」 そう言った姉妹はお互いを見て頷き合っている。 なるほど。 今まで桜から筒抜けだったということか。 だけど、今回は聞いていないって…… 私とのことは内緒にしたいってこと?
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