知らなくて

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木羽くんの目がまた更に鋭くなった。 丹桜さんの手を鬱陶しそうに払って席から立ち上がる。 一瞬にして教室が凍りつく。 ―ガラガラ。 ―バタン。 段々木羽くんの足音が遠くなる。 「……丹桜。 席に着きなさい。 ホームルームを始めるぞ」 静かな教室には担任の紫暢ちゃんの声だけが木霊する。 木羽くんがいなくなったのに気にしたそぶりを見せない。 木羽くん…どこに行ったんだろう。 きっといつもの屋上だと思うけど…なんだか胸がザワザワする。 丹桜さんが転校してきた理由を木羽くんはきっと知っている。 木羽くんと丹桜さんの間にはきっと何かあるんだ。 もし、聞いたら木羽くんは… ――教えてくれるだろうか…? ?
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