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「おー、やっぱ美味い。皐月のメシ。」
満面の笑顔で夕飯を食べ始めた卓人。
さんざん、人を啼かせておいて…よく食べれるよ。
思わずジッと卓人が口におかずを運ぶ様を見てしまった。
「ん?何、なんか付いてる?」
卓人があたしの視線に気付いて、目を丸くしながら訊いてきた。
「…よく食べるなぁ、と思って。」
「当ったり前だろ、腹減ってたし。さっきは皐月に負けちゃったけど。」
ニヤッとしながらあたしの顔を見る。
「っもう! すぐそうやって人のせいにするんだから!」
口調は怒っているものの、自分の耳に熱が集まるのを感じる。
こんなこと言われたくらいでなんで照れちゃうの。
…卓人はこういう人だって分かってるのにな。
7つ年上の卓人から見たらあたしの考えなんて全部見透かされてるんだろう。
大抵、コドモ扱い。
そりゃそうか。高校生の頃から知ってるんだもん。
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